製品情報

安全性及び性能

モチジェル🄬は海藻由来のアルギン酸を原料としております

天然の海藻から抽出されるアルギン酸を原料としています。天然由来のアルギン酸は、エンドトキシンを多く含有し、そのままの状態ではインプラントの原料として使用出来ませんでした。そこで弊社では体内に埋植可能な医療機器とするため、低エンドトキシン化したアルギン酸を原料として生物学的安全性試験で評価された医療機器を開発しました。

※エンドトキシンは、グラム陰性桿菌の細胞壁の構成成分であるリポ多糖類であり、グラム陰性桿菌の死滅や破壊にともない遊離される発熱物質の一つです。エンドトキシンが混入した場合、発熱などさまざまな生体反応を引き起こすことが知られています。

特定生物由来製品に非該当

アルギン酸は海藻由来のバイオマテリアルであるため、人獣共通感染症の蓋然性の低い原料です。

※人獣共通感染症とは、同一の病原体により、ヒトとヒト以外の脊椎動物の双方が罹患する感染症です。病原体には、異常プリオンタンパク、ウイルス、細菌、寄生虫、真菌があります。病原体によってもたらされる症状は様々で軽症のものから重症のものまでありますが、中には狂犬病のように致死性の高いものもあります。

モチジェル🄬の治験における安全性と性能

本邦で行われた2 回(①パイロット試験、②検証的治験)の治験において、モチジェル🄬に起因する有害事象、および不具合は認められませんでした。

①パイロット試験1)2)3)

試験 ID

jRCT1080223051

試験名

dMD-001 パイロット試験
膝または肘の関節軟骨損傷患者における性能および安全性を探索的に検討する試験

目的

膝又は肘の関節軟骨損傷患者(外傷性軟骨欠損症あるいは離断性骨軟骨炎)における、dMD-001 の性能及び安全性を探索的に検討する。

対象

膝又は肘の関節軟骨損傷患者(外傷性軟骨欠損症あるいは離断性骨軟骨炎)

試験の種類

非対照試験

手術例数

膝:12 例、肘:5 例

主要評価項目

主要エンドポイント

  • 性能

    <膝>
    • KOOS:2 次登録時の数値と比較した、術後72 週時における変化量

    <肘>
    • Timmerman/Andrews Elbow スコア:2 次登録時の数値と比較した、術後72 週時における変化量

    <膝及び肘>
    • 関節鏡評価:術後72 週時におけるICRS 分類を用いた評価

    • MRI 評価:術後72 週時におけるMOCART スコアを用いた欠損部位状態の評価及びT1ρマッピングを用いた硝子軟骨の割合による軟骨の質評価

  • 安全性

    • 有害事象

    • 不具合

性能

  • 膝での主要評価項目であるKOOSの術後72週時における2次登録時からの変化量は44.6[30.8~58.4]であった。(the Wilcoxon signed-rank test p < 0.05 VS.術前)

  • また、肘の主要評価項目であるTimmerman/Andrews Elbowスコアの術後72週時における2次登録時からの変化量は96.0[79.3~112.7]であった。( a paired t test *p< .0001 VS.術前 )

安全性

  • パイロット試験では、治験機器が17例に使用され、有害事象が全例(17例56件)に認められた。(144週まで観察)

  • 重度は認められず、中等度2例2件は、創合併症1例1件、深部静脈血血栓症1例1件であり、それ以外は軽度16例54件であった。

  • 死亡に至った有害事象は認められず、死亡を除く重篤な有害事象は1件(認知障害発作)認められたが、本品との因果関係なしと判断された。

  • パイロット試験において、治験機器に関連する有害事象は認められなかった。

  • 本品の不具合は認められなかった。

以下にパイロット試験において認められた全ての有害事象を示す。

パイロット試験 有害事象一覧

②検証的治験4)

試験 ID

jRCT1080224716

試験名

dMD-001 検証的治験
膝または肘の関節軟骨損傷患者におけるdMD-001の性能および安全性を検討する試験

目的

膝又は肘の関節軟骨損傷患者(外傷性軟骨欠損症あるいは離断性骨軟骨炎)においてdMD-001 がモザイクプラスティと同程度の性能を有することを検証するとともに、dMD-001 の安全性について検討する。

対象

膝又は肘の関節軟骨損傷患者(外傷性軟骨欠損症あるいは離断性骨軟骨炎)

試験の種類

多施設共同非盲検単腕既存対照(モザイクプラスティ)比較試験

手術例数

膝:22 例、肘:8 例

主要評価項目

  • 性能評価
    主要エンドポイント

    <膝>
    • IKDC(患者自己評価)スコア:72 週時における2 次登録時からの変化量

    <肘>
    • Timmerman/Andrews Elbow スコア:72 週時におけるスコア

性能

  • 膝での主要評価項目であるIKDC(患者自己評価)スコアの術後72週時における2次登録時からの変化量は37.56[28.49~46.62]であった。(the Wilcoxon signed-rank test p < 0.05 VS.術前)

  • 肘での主要評価項目であるTimmerman/Andrews Elbowスコアの術後72週時における値は199.4[197.9~200.9]であった。 ( a paired t test *p < .0001 VS.術前 )

  • 本治療法は既存の治療法であるモザイクプラスティに比べて有効性が劣っていないことが確認されました。

安全性

  • 検証的治験では、治験機器が30例に使用され、有害事象が全例(30例119件)に認められた。(72週まで観察)

  • 重度2例2件は半月板損傷、靭帯断裂各1例1件

  • 中等度15例23件は創合併症13例14件、悪心2例2件、術後創感染、角膜炎、ケロイド瘢痕、関節痛、血中トリグリセリド増加、半月板損傷、軟骨損傷各1例1件であり、それ以外は軽度が25例94件であった。

  • 死亡に至った有害事象は認められず、死亡を除く重篤な有害事象は4件(靭帯断裂1件、軟骨損傷1件、半月板損傷2件)認められたが、いずれも本品との因果関係なしと判断された。

  • 検証的治験において、治験機器に関連する有害事象は認められなかった。

  • 本品の不具合は認められなかった。

以下に検証的治験において認められた全ての有害事象を示す。

検証的治験 有害事象一覧

1) Momma D, Onodera T, et al.: The Orthopaedic Journal of Sports Medicine 2021; 9(3). DOI :10.1177/2325967121989676
2) Onodera T, et al.: THE BONE & JOINT JOURNAL 2023;105-B (8):880-887. DOI: 10.1302/0301-620X.105B8.BJJ-2022-1071.R2
3) 持田製薬社内資料:パイロット試験 承認時評価資料
4) 持田製薬社内資料:検証的治験 承認時評価資料